メーカーを志望するということ
私は大学職員として最終的に落ち着きましたが、就活を始めた頃、そのもっと前から第一志望の業界をメーカー(製造業)に決めていました。
なぜメーカーを目指していたかというと、「ものづくりが好きでそこに携わりたかった」のと「やっていることが単純だから」が理由でした。
「やっていることが単純」
こう書くとメーカーに勤めてらっしゃる方々に怒られそうですが、職務内容が単純だとか、そういう意味ではございません。あくまで分かりやすい仕事であると感じていたからです。
モノを作り、売る。二言で説明できるのがメーカーの素晴らしい特徴です。それに生み出したモノは実体がある。サービスやネットコンテンツのように目に見えないものではなく、手にとることが出来る。モノによっては50年・100年後も使われ続けるかも知れない。そう考えるとワクワクしてきます。自分の仕事が後世の世代にまで影響を与えられる。これこそ醍醐味であり、就活生の頭脳でも理解できる単純な「メーカーがやっていること」でした。
だから私はメーカーに魅力を感じ、面接でも上記のことを伝えました。
大抵の面接官は、やはり同じ思いがあるのでしょう。共感してもらえることが多かったです。
しかし、このことについて自分で納得出来ない点があります。私は文系で、メーカーの就職は、基本的に営業志望ということになります。
「この熱意があるなら、なぜ技術者として働こうと思わなかったの?」という疑問に自分で納得できる答えを見つけることは出来ませんでした。
自分の手でモノを生み出したいと言ったのに、営業志望なのはおかしい?
一度だけ面接で聞かれたことがありますが、そのときは「世に広める役割を担う営業の活動も含めて、ものづくりと考えるからです。」と答えました。パッと出の回答にしては良いものだと思いましたが、技術者に憧れていることをカバーする答えにはなっていません。
「文系ができるのは営業くらい」では答えになりません。私はこの答えに行き詰まった時、ようやく「第一志望はメーカー」という自分に対する決め付けから一歩引けたような気がしました。