たった一言でも、簡単に企業に対して不信感を持ってしまう話
お久しぶりです。清々しい天気が続きます。僕も仕事は今のところ苦痛では無いですが、さすがに外でのんびりとしたいなと思うこの頃です。
先日、就職活動中の現在大学四年の友人と話している時にふと思い出したことです。
この時期になると誰しも知っている超大手企業の採用は落ち着き、中小企業の採用活動が始まります。今まではネットで調べればいくらでも情報が得られた企業が多かったですが、中小企業となるとなかなか情報が得にくいことも多くなると思います。
友人もクチコミで聞いた企業のうわさ話を、眉唾ものであると分かっていながらも参考にせざるを得ない状況を話してくれました。
公式HPくらいしか情報源がなく、みんしゅうを見てもロクなことが書いてない。他の就活生と差をつけるポイントが見つからず焦りを募らせる人も多いと思います。
まさに就活は情報戦といった様子で、どれを信じどれを疑うべきか悩みぬいた挙句、疲弊して疑心暗鬼になってしまうこともあるはずです。
そんな状態でふと言われた一言が深く突き刺さり、いくら企業研究をしても「一言」の先入観が抜けなくなってしまうこともあります。
これは僕も経験しました。
去年のちょうどこの時期に、ある法人向け機械メーカーの企業を受けました。企業規模はさほど大きくなく、まさに中小企業の王道って感じでした。
会社説明会や1次面接では非常に好印象で、誠実かつクリーンな会社だなという印象を受け、内定を貰ったらぜひ入社したいとも考えていました。
そんな中、2次面接に進むにあたり情報収集していると、みんしゅうでこの企業のページを見つけました。
見てみると、あまり目立たない企業のせいか書き込みは盛り上がっていなく、最終更新は数年前でした。
何気なしに眺めていたのですが、ふと、こんなコメントがありました。
「入社した身から言っておく。この企業に入るべきじゃない」
さらに続いて別の人が
「ええ、入社してよく分かりました」
これを見て思わず固まりました。ほとんど企業の情報、特に内部の情報が無い中で、社員と思わしき人から辛辣な書き込みが残されている。
もちろんこれはガセの可能性も十分あります。どこかの就活生が愉快犯で書き込んだことも十分考えられる。
ただ、情報に飢えていた就活生には深く刻まれた言葉になりました。
その後この企業は2次面接と社長面接を受け、内定を得ることが出来ました。しかしあの「一言」が深く刻まれた僕には、「この面接室の奥の部屋で従業員の地獄絵図があるんじゃないか」とも思うほど、疑いの目で見るようになり、人事もとい社長の話を信じられなくなりました。
この企業は結局、内定の受領を待ってもらい、その間に別の企業から内定を得たので辞退しました。
皆さんは「こんなネットの言葉に踊らされるなんてバカだな」と思うと思います。たしかに当時の自分は周りが見えていなかったと言えます。しかし、「こんな一言」にも左右されてしまうほど、就活生は血眼になり必死で情報を集めてます。信じるか信じないかでなく、その「一言」があるという事実だけで心が揺らいでしまうほど就活生は不安定な状況にあります。
企業も就活生も、何気ない一言や書き込みが先入観を生み出し、妄信的な存在を生み出しかねないことがあります。そりゃあ冷静になって考えれば考えすぎだったなとは思います。僕の場合、冷静になるまで1年かかりましたが。
「ネットの意見に流されず自分の考えを持とう」なんて簡単に口に出せません。じゃあどうすればいいんだよと当時の自分に言われます。結局は入社しないと分からない。ならネットでもなんでも使ってやる、と。
余談ですが、ある日本トップシェアレベルの文具メーカーを受けた時、会社説明会で入り口を間違え社員用エレベーターを使いました。その時に掃除のおばちゃんも乗ってきて、僕を見て言いました。
「あなた就活生?」
「はいそうです。今日会社説明会なのですが入り口を間違えまして」
「そう。こんな会社に入りたいの?」
「・・・・・」
会社の至る所を知っているであろう掃除のおばちゃんが言ったこの一言。いまでも忘れられません。
「たくさんの企業に落ちた」ことをアピールとして使っていた話
お久しぶりです。桜は散ってすっかり暖かくなりました。風薫る5月は目前ですね。
そろそろ早い人だと内定を得る人もいると思います。もちろんまだ決まらない、上手くいかない人もたくさんいるはずです。4月は就活第一波の終着点です。5月からは第二波が始まるので、ここで気を落とさずに頑張りましょう。
(第一波・第二波について詳しいことは以前の記事を参考にして下さい)
さて、この時期は面接のピークであり、多くの人が面接に挑んでいると思います。そのなかで必ずと言っていいほど聞かれることが「他社状況」です。
「これまで何社受けた?いま何社ほど選考が進んでいる?」
実際に聞かれた方もいると思います。面接官はこの話を通して、自社がどれほどの志望度なのか測ろうとしているものだと思います。
僕もこの質問は何度もされました。最初の頃は別によかったのですが、8月・9月になってくると落ちた企業も膨大になってきて、ある問題が生じました。
それは「落ちた企業数を正確に言っていいものか」ということです。
100社以上も選考を受け、落ちたことは、言ってみれば「100社以上も相手にされなかった能力のない人間」と同義ではないか。と思い始めました。そんなにたくさんの企業に落とされたのだから、きっと「こいつは無能な人間なんだ」と自ら教えてしまっているような気がして、僕は受けた企業数をごまかすようになりました。
本当は100社落ちてるけど、面接では「30社ほど受けました」とサバを読んだわけです。
受けた企業数が多いほど悪い印象を与える、というのは僕の推測でしかありませんでした。しかし、きっとそうだろうと決め込んでしまい、嘘を言い続けました。
しかし、それにも限界がありました。面接のたびに受けた企業数を思いつきで言っていたため、どこの企業でいくつ受けたと言っていたかわからなくなり、ボロが出始めていました。
僕も精神的にきつく、この嘘を言い続ける自信はなくなっていきました。
そして8月の終わり頃、ある企業の面接でやはり「受けた企業数」を聞かれました。すっかり疲弊していた僕はもうヤケになり、正直に「110社ほどの選考を受け、100社ほどの企業に落ちました」と答えました。
ああ、言ってしまった。きっと悪い印象を与えてしまったんだなぁ
後悔しました。
しかし面接官の反応は意外でした。
「おお。そんなにたくさん受けたんだ。それでもへこたれないで続けてるのは大したものだよ」
寝耳に水といったらいいのか。本当にこの反応は驚きました。
この時僕は初めて、「たくさんの企業に落ちた」ことがアピールとして使えることに気付かされました。
この面接以降、僕は他社状況でサバを読むことをやめ、堂々と正直に言うようになりました。
「こんなにも多くの企業に落とされた。それでも挫けずに這いつくばってでも諦めないで行動している。それだけの継続力と忍耐力、そして精神的な強さがある」
100社以上落とされたことも、言い換えればアピールとして使うことが出来る。もっと早く気づいていればな、と思うほどの衝撃でした。
もちろん、このアピールは諸刃の剣であることを忘れてはいけません。忍耐力があると受け止めてくれる企業もあれば、先述の通り無能な人間だと受け止められる可能性もある。どっちに転ぶかは分かりません。ただ、僕がこのアピールを言うと、ほとんどの企業はその苦労を評価してくれました。「ちょっとしたことで諦めるようなヤワな人間じゃない。どんなに否定され続けても就職したい意思は曲げなかった」と一言付け加えれば、納得してもらえました。
なにが評価され、なにがダメ出しされるか。企業によって180度変わりますし、こればっかりは140社受けても理解できませんでした。しかし、長所にも思えなかったところが、案外ウケることはよくある話です。
みなさんもゴールデンウィークでリフレッシュして、ちょっと頭を整理してみると、思いがけない長所が見つかるかもしれません。
とりあえず、4月までお疲れ様でした。
大学事務という、巨大な植物を育てるような仕事についての話
お久しぶりです。4月になり、いよいよ就活が忙しくなる頃だと思います。雨が多く、桜がスーツにくっついてないか心配になる季節です。
僕が大学職員としていよいよ働き始め、最初の日曜を迎えました。この一週間で研修やら配属が決まり、来週からは先輩社員の教育を受けながら失敗を繰り返す日々になると思うところです。
さて、職業としての大学職員ですが、かなり志望している人も多いと思います。ネットで見ると「楽なのに給与がいい」なんて書かれていたりします。ホントかどうかは知りませんが、大学時代に暇そうにPCに向かう事務の人を見ているとそう思って当然なのかなと思います。
実際に働いてみると、たいして暇な訳でもない感じです。まぁ4月が大学にとって最大の繁忙期ですので、暇だったらマズイわけです。僕が配属された部署も「今すごく忙しから、来月くらいにはもっと丁寧に面倒見てあげられるんだけどね」と仰ってました。
去年、僕は都内・郊外さまざまな私立大学の事務職員採用試験に挑戦しました。大学職員というのは、なぜか極端に採用人数が少ないのが特徴です。10人とかなら「結構あるな」と思うほどで、1人だけとかもザラにありました。
狭き門なのは確かです。
しかも面接や試験も厳しいところが多く、やはり最高学府の運営に加わるには相応の能力が必要であることを実感します。
また、自分の生徒を優先的に採用している(と感じる)大学も存在します。あくまで就活仲間からのうわさ話ですが、●治大学や●修大学などは自分の生徒が圧倒的に採用されており、その半面、●蹊大学や●細亜大学は最近は他大学出身者が多く採用されている なんて話もありました。
本当かウソかは知りません。採用実績などを見て、ご自身で判断して下さい。
自分の大学を受けるのであれば、特徴や悪い点、志望動機は容易に生み出せます。しかし、他大学を受けるときは情報量が圧倒的に不利であることは避けられない事実です。その学校の雰囲気も知らなければ教育方針も知らない。「なぜ、君の学校ではなく他大学であるウチに?」と聞かれるのが、あまりにも苦痛なのは仕方のない事です。なんとか練り上げるほかありません。
さて、大学事務としてとりあえず数日働いて感じたことは、「本当に、裏方なんだなぁ」という実感です。
大学は、学生を教育し社会で立派な存在となれるよう育成することが目標です。しかしそれは目に見える結果ではなく、明確な達成基準もありません。一般企業における「売上目標を達成した」「複数の企業と協力して商業施設を完成させた」のような、明確なゴールが存在しない仕事です。
ちょっと変な例えですが、大学は学生という植物にひたすら水をあげ成長させていきます。植物はどんどん成長し、雲を突き抜けていきます。地上で水を上げている大学職員は、植物が花を咲かせたのか、それが何色でどんな香りの花なのか、雲の上で起こっていることを見ること無く次の植物を育て始める。
日々の単調な仕事がどのように学生の成長につながったのかを知ること無く卒業していき、新入生を迎える。自分からは根と茎しか見えない。あまりに実感、実態のない仕事であるように感じました。
しかし同時に、学生に水を与え雲の上まで成長させられるのは最高学府である我々の役目でもあります。小・中・高校と土を耕し種を撒いて芽吹いた若葉を、時に雨風飛び交う社会に耐えうる丈夫な根と茎を育てる。この使命を担う責任感を、どことなく働いて感じたところです。
大学職員になることは、もしかしたら丸一日PCに向かって書類制作をすることになるかもしれない可能性があります。明確な達成感は貧相なものかもしれない。しかしそれに耐えてでも暴風雨から学生を守る最後の砦として働くことに誇りを持てるならば、きっと楽しいものであると思います。
僕は変に硬派なので、最高学府としてのプライドを持って仕事に取り組もうとしてます。ゴールが見えずに嫌になることも多々あると思いますが、時にはこのプライドを思い出してみようかと思います。
126社落ち就活生のメンタルと「内定とりゲーム」
お久しぶりです。少しづつ暖かくなってきました。
4月になれば僕も社会人。こんな青二才が本当に働いていいのかとも思いつつ、楽しみに待っている状況です。
ここ最近で就活のニュースをずっと見てきました。時期が時期なだけにかなりの話題が飛び交っている印象です。ドワンゴが採用有料化で行政指導を受けましたね。以前のエントリーで書きましたが、まぁ当然といえば当然の結果だとは思います。
『「100社応募は会社に失礼」神田うのの就活理論に批判殺到!!』
ドワンゴの件で話題になったニュースです。僕はこのニュースを見た時に「100社受けるっていうのは世間的に見ると多い方なんだろうなぁ…」と思いました。自分としては100社は折り返し地点みたいなもんでした。
会社に失礼かどうかはともかく、僕は実際に140社ほど受けて126社に落ち、ボロボロの状態で就活を終えました。この話をすると大体の人に「就活鬱」「就活自殺」の心配をされるのですが、僕はまったく鬱にはなりませんでした。
もちろん、気分が深く落ち込み無気力になる時もありましたが、一晩寝れば忘れてしまいます。就活は確かに苦痛でしたが、126社落ちても割りとケロッとしていた。
理由を自分なりに考えてみたのですが、どちらかというと僕は就活をゲームのように考えていたと思います。いわゆる内定とりゲームです。
よく「マッチングを考えて企業を受けろ」「自分にあった企業を探せ」と就職課や先生たちに言われると思います。たしかにその通りだと思います。
でも、数ある企業の中から自分にマッチする企業を見つけても、内定をもらわなければ話になりません。どんなに時間をかけて企業とのマッチングを探っても、落とされたらそれこそ時間の無駄です。
ですから僕は
「自分にあった企業を探す」→「採用試験を受ける」→「内定をもらう」
のではなく
「内定をもらう」→「自分にあった企業を探す」
これが最善の方法だと考えて行動していました。
つまり、とにかくまず内定を勝ち取る。複数の企業から選択肢を得た時点で、マッチングを考えてどれに入社するか決める。この方法が楽だと考えました。
だから僕は興味のない企業もポンポン受けました(一応興味のある業界だけで、金融や飲食は受けませんでしたが)。内定がなければマッチングもクソもない。似たようなことやってる企業なら時間の許す限り採用試験を受けました。
こうして受けた企業が140社まで膨らみました。そして、よく企業研究して「この企業こそ自分にあった企業だ!」と考え受けることはしなかった。
だから126社落ちても平気でした。受ける企業に思い入れなんてありません。
結局、4社ほどから内定を得て、そこでようやくマッチングを考え入社する企業を決めました。
先述のニュースの通り言うなら、僕は企業に対し非常に失礼な態度でありました。でもそんなこと気にして入られない。向こうが面接で良い顔しながらお祈りするなら、こっちも「御社が第一希望」を連呼して、内定辞退しまくってやる、と。
結構卑屈な性格なのかもしれません。まぁ「辛い就活で正確がゆがんだ」と言い訳しときます。
面接NGワードとしての「人生観」
暇を持て余している僕ですこんにちは。就活中はあんなに時間が欲しかったのに、いざ自由な時間が手に入ると何もできなくなるヘタレです。みなさん説明会で忙しい(であろう)なかいかがお過ごしですか。
まだ時期的に面接は少ないと思いますが、それでも面接に対する不安や恐怖心は非常に大きいものだと思います。何を聞かれるのか、何を話していいのか、皆目検討もつかないのではないかと悩んでいる状況かもしれません。
僕はある程度面接を受けた中で、やはり他の就活生が話す同じような内容の自己PRや経験談を何度も聞いてきました。そのなかで、どうも言わないほうがいいんじゃないか?と思ったセリフがあります。それは
「人生観」
です。この言葉、わりと汎用性がきくのか多くの人が話していました。この言葉を使う就活生は大体が被災地や海外での経験とセットで話すことが多かった(というよりそれしか聴きませんでした)気がします。
僕がこの人生観という言葉を面接で使わないほうがいい、つまりNGワードと考える理由は、その程度で180度人生観が変わったと容易に断言できることに対して胡散臭さを感じたためです。要は深夜の通販でやっているような、従来品と比べ汚れを倍以上落とす洗剤の謳い文句と同レベルのように聞こえるためです。
「人生観」という言葉を使うと、二言目には必ず「変わった」と続きます。被災地の厳しい現状を見たり、海外の異文化に触れることで未知の世界を知るきっかけになったと就活生は言います。学生のうちに未知の世界に触れることは大いに結構なことです。良く言えば行動力があり知識欲も旺盛であり、悪く言えばテンプレそのものです。
ただ、僕はどうしてもこの就活生が言う「人生観」に胡散臭さを感じてしまいました。それは「変わる前の人生観はどんなものだったのか」に全く触れていないためでした。
そもそも、たかが20年ちょっとしか生きていない僕らが持つ人生観とはなんなのか。それを考えると、僕はさっぱり思いつかないというか、言葉にできません。何かに専門的に取り組んできた職人でもなければ、サバイバルで生き残った人間でもない。ふつうに義務教育を終えたあと4年間の比較的自由な時間を過ごしてきた僕らに、そもそも人生観はあるのか。僕は分かりませんでした。だから、「人生観が変わった」と言う人に対して、「変わるほどの人生観を本当に持っていたのか」と思ってしまいます。まだ真っ白だった人生観に、ボランティアや異文化交流で色を塗り、そこで自分の人生観を作り上げたという説明なら納得できます。でも、まるでボランティアで人生観が180度変わってしまったと言う人は、もともとその程度の人生観しか持ち合わせていないことを宣言しているとしか思えない。ボランティアしたことは確かにすごいし賞賛すべきことです。でも今後働き始めたらボランティアよりももっと想像もつかない未知の世界がある。そのたびにこの人は人生観が変わるのか。そしたら落ち着きのない、軸のぶれやすい人だなと思われても仕方ありません。
僕はこのことを考えて以降、人生観という言葉は使わないようにしてきました。もし面接官に「じゃあ変わる前の君の人生観はどんなものだったの?」と聞かれても答えられません。たかだか20歳ちょっとの青二才の人生観は、面接官から見たら白紙のノートみたいなもんじゃないか、と。
在学中に(今もそうですが)富士山に登ったり、屋久島の縄文杉を見たり、東北の被災の現状を見てきたりしました。しかしどれも人生観を変える経験になったとは思えませんでした。それどころかようやく、変えることの出来る人生観を作り出していると考えています。きっと今後働き始め、日本社会の光と影を知り、体に染み付いたところで海外や未知の世界に出ることで、ようやく人生観は変わる、いや変えられる。
僕はそう思っています。
みなさんも面接でふとした言葉を面接官に突かれることがあると思います。言葉は慎重に選び、根拠を聞かれても説明できるよう準備すれば、落ち着いて対応できると思いますよ。
「どんなに小さな会社でもいいからこの業界で働きたい」と考える就活生へ ~オフィス家具・事務器業界編~
「どんなに小さな会社でもいいからこの業界で働きたい」と考える就活生へ ~文具業界編~
文具業界に次いで、今回は私が頻繁に選考を受けたオフィス家具業界についてのちょっとした話です。
僕はオフィス家具業界というものを、文具業界と非常に近いものであると考えていました。どちらも机上で使用するものですし、日常的に仕事で使うものです。実際、コクヨやPLUSといった文具と家具を両方生産する企業も存在します。
そのため文具業界志望の学生は自然とオフィス家具業界にも目が向くこともあると思います。僕もそうでした。毎日のように使われ、その人の生活の一部分として役割をなせるモノを生み出したいという志望動機は、オフィス家具にも当てはまるものです。
文具業界について述べたのと同じように、オフィス家具業界にも数多くの企業があります。例えば・・・
コクヨ・PLUS・岡村製作所・コトブキ・イトーキ・くろがね工作所・ナイキ…
ぱっと思いつくだけでもこれだけあります。コクヨや岡村製作所は有名ですが、コトブキやくろがね工作所はこの業界に興味が無い人にとっては全く聞いたこともない企業だろうと思います。
(ナイキは某シューズメーカーではありません。漢字で書くと「内記」で、シューズメーカーとは一切無関係なオフィス家具メーカーです(http://www.naiki.co.jp/))
結局、探せば探すほど企業は出てくる。どうしても快適なイスを生み出したかったら、とにかく探して受けまくればいいわけです。「自分とマッチした会社を選べ」といろんな方面から言われますが、とりあえず説明会に行ってみなければどんな会社はわからないわけで、ホームページとにらめっこしていても企業のことなんて分かりません。いや、分からなかったです。
数多くのオフィス家具メーカーを受けた中での率直な感想は、「製品の違いなんてもう聞きたくない」です。もうイスに対するこだわりなんて飽き飽きです。
企業研究をする際、やはり大切なのは「同業他社との違い」だと思います。同じようなモノを作ってるあの会社ではなく、なぜこの会社を受けたのか。これを明確にしなければ面接を進んでも苦しくなっていく気がします。
会社ごとの色を見つけられれば、それは志望動機にも自己PRにも派生させることが出来るネタになります。
でも会社ごとの色を見つけるのは容易ではない。「あの会社は赤でこの会社は青」くらい明確ならいいです。でも僕の印象では「イトーキが赤なら岡村製作所は茶褐色」です。それくらい「似たような色」のなかで、この会社にしかない色を探すなんて無茶もいいところでした。
同じようなモノを作り売っている企業なんですから当然といえば当然です。違いなんてよくわからない。でも明確にしなきゃ不安で面接も受けられない。
だからどうしても製品の特徴に目が行ってしまう。
会社のこだわりや理念が反映されているオフィス家具なら、容易に会社別の色が分かります。
でも、それでは就職のネタにならない。企業はオフィス家具評論家が欲しいのでは無く、自身の企業について理解している人がほしい。そんなの就活生にだって分かります。
でも企業の色が分からない。皆同じようなワークスタイルで、理念だって大体同じようなことを言ってる。むしろこっちがt違いを聞きたいくらいだ。
面接の場で製品の特徴を説明したって、「ふーん詳しいんだね。で、ウチの会社については?」と聞かれることは予想できます。同業他社同士の違いなんて言葉の綾レベルでの詮索合戦です。物は言いよう、ニュアンスの変化で同じことを言い続けるしかないなと、僕は結論を出しました。
メーカーを受けると、この悩みにぶつかる人もいるかと思います。解決策としては語彙力を身につけて同じことを言葉を変えて繰り返す。これがいい解決策だという考えに僕は辿り着きました。オフィス家具業界を受ける方々も、説明会ではイスの機能についてのメモより、社員の働きざまについてメモをとりましょう。
今でも思い出したくない、ある面接の話2
前回から引き続きの、ある企業の面接の話です。嫌な記憶として非常に印象に残ったことを書いていこうと思います。
とりあえず1次面接は合格しました。当時の僕はまだ納得できる内定はなく、ストック(選考途中の企業)の状況も芳しくなく9月を目前にしていたため、内心焦りを隠せませんでした。
そんななかで、この製本会社はまぁ悪くなさそうな企業でしたので、あまり考えず選考を進めました。
しかし1次面接でアレだけのことをされた企業です。注意深く対策をして面接に望みました。会社の事業や、自己分析を練り直し、もちろん自己PRを10個くらい考えてきました。
この面接の内容ははっきりと覚えていません。
それは、ある質問のインパクトが大きすぎて、それしか記憶に残ってないためです。
前回と同じ女性(中小なので最終までは彼女が務めるらしい)で内心「うわぁ・・・」としたものの、連戦をくぐり抜けてきた自分の舌とにこやかに作った顔で、問題なく進んでいきました。
1次面接よりかは普通かな、と思った矢先、あることを聞かれました。
「きみを雇うことで弊社にどんなメリットがあるか、具体的に教えて。」
これは面接やESの本とかでよく見かける一文です。ですから「聞いたことがある質問だな」と思いました。なので、回答しようと内容を考えました。
ですが、内容が全く浮かんでこない。僕はこのことについて何も考えていなかったし、答えを見つけることが出来ませんでした。
自分を雇うことでこんなメリットがある。これは採用活動における基本的なことです。ボランティアじゃないので、役に立たない人は雇う必要はない。ごくごくふつうの事です。
じゃあ新卒を採用する意味はなんなのか。僕はそれが分からず、面接官の前で固まってしまいました。
いつもはどんな難しい質問が来ても、舌が上手く動いてくれました。しかし今回ばかりは全く思いつかない。僕は、どんなメリットを有した人物なのか。
会社にとって即戦力となる人物が欲しかったら、中途採用が適しています。すでに職業について経験を持ち、場所を変えても仕事が始められるなら、それは会社にとってメリットです。
じゃあ新卒はどうか。たとえば法学に詳しい人物なら経営法やらの知識をアピールでき、メリットになると言える。特別な能力や資格を持っているなら、それでメリットになることが出来る。英語の資格があるなら国際化の手助けになるといえる。
では特に資格を有しない、平凡な学生である自分がもつメリットはなにか。「会社に新しい風を吹き込む」なんて就活マニュアルにあるような非現実発言なんて出来ません。そもそも新しい風を吹き込むなら、別に中途でもできる事です。
僕は答えられませんでした。この会社に入り、どのような仕事をするかイメージできなかった。だからこの質問に答えられなかったんだと思います。
そうなると、なぜ新卒はメリットも少ないのに採用されるのか、そこから分からなくなっていきました。まるで哲学です。能力のない人間は淘汰されるのですから、メリットがない人間はいらない。そんなにメリットを望むなら新卒採用なんかせず中途採用だけしてればいいじゃないか!
とまぁこんな感じに思考が巡り、あとの面接についてはよく覚えていません。結局この企業は、面接結果が出る前に辞退しました。
僕が新卒採用制度を批判できない理由はここにあります。確かに新卒採用制度のおかげで126社も落ちるような目に合わなきゃいけなかったのは事実です。しかし、この制度がなければ自分みたいな資格も持ってない「メリットがない新卒」を企業が採用する必要がなくなってしまう。ある意味でこの制度に助けられたとも思うわけです。
当時はこの質問について思い悩み、答えを考えようとしている中で大学から内定を頂き就活は終わりました。
今でも、「資格も能力もない若造を採用する、具体的なメリット」が理解できないままです。そしてこの質問をした企業が、新卒採用で僕みたいな人間を選考に進ませた意味も未だに分かりません。社会人となり働き続ければ、わかるかもしれませんが。